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この日になると、
毎年思い出します。
目の前の『教師』は
パニックになって
1人の母親になっていた。
地震酔いして
同級生と先生に支えられながら
避難した校舎。
帰り道で開かれていた
井戸端会議とか。
CGみたいな
ニュース映像とか。
あの映像の中に
奪われた命が沢山あったと思うと
ゾッとする。
その年の春、
私は人生で初めて
『演劇』に触れました。
そして。
2010年の秋に生まれたのが
私が度々話題に出している
『日の丸水産』という戯曲。
部活の顧問が書いた作品で
主人公がストーリーテラーとなって
自分の祖先の話を
していく作品です。
その作品は
明治三陸地震を
描いています。
多分、いやきっと。
この作品が生まれなければ
私は演劇を続けなかったと
思っています。
私はこの作品において
部員の中で唯一、卒業まで
同じ役をずっとやり続けました。
ストーリーテラーが語る
明治時代の物語の
主人公、佐々木末という役。
この役が、Twitterとかで時々
超えられない役
として登場する役。
今でもセリフを言えるくらい
思い入れの強い役です。
多分、紅森神楽も
まだ踊れると思う。笑
被災者じゃない自分たちが
演じ続けることは
果たして良いことなのか。
そんな疑問が頭に過ったりしました。
全国大会に勝ち進んだとき、
被災地の高校が演じた
その年の最優秀作品賞であり、
今でも語り継がれている名作
『もしイタ』の
エネルギー量に
圧倒されました。
高校生ながらに悩んで
図書館に行って
大嫌いな本に囲まれながら
一生懸命文献を読んで
そんなもんで彼らの思いを
全て知ることは出来ないことなんて
分かっていたけど
必死で理解しようとしていました。
あれから何年か経って。
今でもどうやら
『日の丸水産』は
全国の高校演劇部の皆さんに
演じられているようです。
オリジナルキャストとしては
とても幸せなことです。
そして、
この戯曲が上演される度に
3.11を思い出してもらえる
ということに
今更ながら気が付きました。
上演してくださり
本当にありがとうございます。
上演してくだ
ありがとうございます。
この戯曲と出会わなければ
私は役者を続けていないと思います。
お芝居には人の心を
動かす力があって、
思いを届ける力があって。
だから、
誰かの思いや
誰かの気持ちを、
届けたい、伝えられる、
そして誰かを
幸せにできるような
そんな役者になりたいと。
思わなかったと思う。
あれから8年。
私は性懲りも無く
まだ役者を続けている。
もういい年になって、
周りは就職して
それでも私はまだちゃらんぽらん。
不安になることもいっぱいあるけど。
でもね、
まだ、もう少しだけ
役者やろうって思ってます。
毎年、3.11になると
東日本大震災を思い出すと同時に
役者としての原点を
私は思い出します。
いつかまた
日の丸水産をやりたいなぁ。
って、思ったりする。
...
......
.........
......
...
あの長く続いた地震を
私は多分二度と
わすれない。
津波の映像を
二度とわすれない。
忘れちゃいけないんです。
当たり前が当たり前じゃなくなることが
いとも簡単に訪れることを
忘れちゃいけない。
うん、ぜってぇ忘れねぇ。
江益凛。
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